子どもが産まれる瞬間というのは特別なものです。
「自分の子どもの出産に立ち合いたい!」
という男性も多いことだと思います。
でも、立ち合い出産がどんなものなのかあまりよくわからず不安な部分もありますよね。
そんなこれから父親になる人の参考になればと、私の立ち合い出産の体験を紹介します。
予定日を過ぎてもなかなか始まらない陣痛
私の妻は予定日を過ぎてもなかなか陣痛が始まる気配がありませんでした。
一週間を過ぎても、
「まだ赤ちゃんがおりてきていませんね」
と医者に言われていました。
しかし、赤ちゃんを妊娠42週に入る前に産まなければいけないということであったため、その翌週から入院することになりました。
入院の初日にバルーン。
その翌日に陣痛促進剤。
それでも産まれなければさらにその翌日に帝王切開をするという予定になりました。
帝王切開は避けたいと思っていたため、予定を聞いてちょっと妻は落ち込みぎみ。
「なんとか帝王切開の前には産まれてほしいね」
と夫婦で話していました。
予定が決まったので、職場にお願いをして、その3日間の休みを確保!
入院初日は、朝から二人で荷物の再確認をして、昼過ぎに病院へ。
受付を済ませて産婦人科病棟の指定された部屋に行きます。
部屋は少しお金はかかりますが個室をお願いしました。
バルーンを使用するのは夕方からということだったので、病室に荷物を広げたり、これからの動きを確認したりしました。
ただ、この日は、おそらく産まれないだろうとのことでした。
ですので妻がバルーンを使用するために病室を出るタイミングで、
「もし動きがあったらすぐに連絡してね」
と妻に伝えこの日は帰宅。
ずっと携帯を側に置いていましたが、携帯が鳴ることはなく翌日になります。
出産の始まりは突然に
入院2日目。
この日は陣痛促進剤を使う予定。
朝の9時から、点滴で陣痛促進剤を投与していきます。
妻からは、
「いま陣痛促進剤始まったよ」
との連絡。
でもそこまで変化はないようで、その後もLINEで連絡を取り合っていました。
妻のいつもどおりのLINEに、
「今日も産まれそうにないなあ」
と思っていました。
面会時間が13時からだったので、それくらいの時間に着くように私も家を出ました。
(実際は出産の日は朝から入れたようです)
病院の近くで、出産の際にいるであろうウィダーインゼリーや飲み物を購入。
病院まであと少しというところで妻から、
「これから破水させるって!」
というLINEが!
「破水させるってなに!?」
と驚きましたが、医者が羊膜に穴を空けることにしたようでした。
急いで病院に行き受付をすると、病室ではなく分娩病棟に行くように言われ急いでエレベーターへ。
妻からのLINEの返事も来なくなっていたので、
「もう始まっているのか!」
と焦る気持ちが出てきます。
エレベーターの待ち時間も、上っているときも、
「まだか!」
ととても焦れた気持ちに。
分娩病棟に着き、看護師さんに陣痛室へ案内をしてもらうと、もうすでに出産は始まっていました。
頑張る妻とあたふたする私
陣痛室に入ると、カーテンに仕切られた先のベッドから、
「うー!!」
という妻の苦しそうな声。
でも助産師さんから、
「旦那さんちょっとまだ入らないでください!」
と言われ、その場でしばし待機。
ちょうど状態を確認したり処置をしたりしていたようです。
13:30頃
「旦那さん入ってきていいですよ」
と言われたので、カーテンの先へ。
妻は出産用の服に着替えて、左手に陣痛促進剤の点滴をつながれてベッドに横になっていました。
妻がもう疲れた様子だったので、荷物を下ろしながら、
「大丈夫?」
と声をかけていると、再び陣痛の波が来たようで、
「うー!!」
と言いながら右向きに身体をして、ベッドの手すりを掴みながら痛みに耐える妻。
私はどうしたらいいのかわからず、おろおろと妻の頭の方のベッド脇へ。
妻は部屋は冷房が効いているのに汗をたらしながら必死に頑張っていました。
髪の毛も汗でひたいにぴったりとくっついていました。
陣痛が収まると、荒い呼吸で体を休める妻。
でもまた数分もすると陣痛の波が来ます。
「こういうときは手を握るのだろうか」
と思って妻の空いている手を握って応援します。
でももの凄く辛いようで、私の手を握る妻の手は、これまでの妻ではありえないくらい力が入っていました。
次の休息で、妻から、
「陣痛が来たらお尻を押してもらえると楽になる」
と言われたので、頭側から腰側へと移動。
陣痛が来るたびに力を入れて押します。
陣痛は、急に始まり、しばらく強い痛みが続いたあと、少し弱くなり、いったん落ち着くということを繰り返していました。
それに合わせて私も、妻の声を聞きながら押す力を強くしたり弱くしたり。
助産師さんは、陣痛室にずっとはいませんでした。
ほかの陣痛室や分娩室でも、別の妊婦さんが頑張っていたので順番に見て回っていたのでしょうか。
「何か変化があればナースコールを押してくださいね」
と言われて去っていくので、初の出産で苦しんでいる妻の二人で陣痛室に残されて、すごく不安な時間を過ごしていました。
テニスボールとストローキャップの活躍
よく出産の際はテニスボールがいいと言われます。
これは本当のようです。
妻の陣痛の波が来るたびに、必死になって私もお尻を押します。
陣痛の波がきてお尻を押すときは、手で押すよりもテニスボールの方が効果があるようでした。
その方が楽であると妻に言われました。
ただ、陣痛室ではなく、病室の方に置きっぱなしにしていたため、助産師さんが来てくれたタイミングで、急いで病室に戻ってテニスボールを取ってきました。
出産のときに必要な物は、病室に置いたままにせず、陣痛室の方に先に準備をしておくべきでした。
また出産の際には、とても汗をかきます。
妻は自分で飲む余裕がないので、私が飲み物を妻の口元に持っていったり、飲み終わったものを回収したりしていました。
ウィダーインゼリーのような吸う部分がついているものはいいですが、ふつうのペットボトルはとても飲みづらいです。
そこで事前に、ペットボトルに取りつけるストローキャップを買っておいたのでこれを当日は使用しました。
ひとつ失敗したことは、私が当日までこのストローキャップを使用したことがなかったことです。
妻に飲み物がほしいと言われたときにすぐに準備をすることができませんでした。
段取りが悪くて申し訳なかったです。
ちなみにストローキャップがどういうものか参考までに。
商品はたくさんネットで売られています。
ただ、正直ネットでわざわざ買う必要はないと思います。
参考に見るだけで大丈夫です。
おそらく出産の一回しか使わないので100均の物で十分です。
私たちもダイソーで購入したストローキャップを使用しました。
少しずつ進む分娩
私が到着して一時間くらいがたつと、助産師さんも様子を見ながら、
「だいぶ進んできていますよ」
と声をかけてくれていました。
たった一時間しか立ち合っていないのに、
「まだ一時間しかたっていないの!」
と思うくらいに時間が長く感じます。
出産にかかる時間は、初産だと平均で12時間程度だと言われています。
でも
「これを12時間も過ごすなんて!」
というのが正直な感想です。
妻も、
「ほんともう無理だから!」
と言うことがありました。
分娩が進み始めてからは、助産師さんも様子を見る頻度が上がり、
「はい。力を入れないでゆっくり息を吸ってー。吐いてー」
と妻に声をかけながら手伝ってくれていました。
14:50頃
子宮がかなり開いてきたようで、陣痛室から分娩室に移動をすることに。
妻が助産師さんたちに付き添われながら歩いて分娩室に行きます。
私は、
「旦那さんは少し待っていてください。今のうちに荷物をまとめていてくださいね」
と言われ、銀のカートを置いていかれました。
陣痛室にある妻の荷物をカートに乗せて声がかかるまで待っていました。
でもいくら待てどもぜんぜん呼びにきてくれません。
「これは妻の声?」
と思う苦しそうな声も聞こえてきていて大丈夫なのか心配で仕方ありませんでした。
おそらく、妻の方の準備や処置をしていたのだと思います。
そうはわかっていても、この待つ時間というのがとてもきつかったです。
分娩室へ行き、妻の最後の頑張り!
15:17頃
ようやく、助産師さんが来てくれて、
「旦那さんも分娩室に行きましょう」
と案内をしてくれました。
分娩室に行くと、先ほどよりも大きなベッドに妻が横になり、口元に酸素を吸入する装置のようなものをつけていました。
あとで聞くと、酸素が足りなくならないように使用することが多いようです。
私はベッドの妻の頭側に行くように指示をされます。
陣痛は先ほどよりも感覚が短くなっており、私も妻を励ましたり、飲み物を口元に持っていったりしながら出産の無事を祈っていました。
この時間ほど、ほかに何かできることはないのか強く感じる時間はなかったです。
ただただ無事を祈るだけでした。
そこから何回もの陣痛の波が来たあと、助産師さんから、
「もう少しだからもういきんでいいですよ」
と声がかかり、妻の身体にも力が入ります。
医者も助産師さんも赤ちゃんがいつ出てきてもいいように待機し、妻に声をかけてくれます。
私も妻に、
「あと少しだよ。もうちょっと!」
と必死に声をかけます。
ついに娘誕生!
そしてついに赤ちゃんの元気な泣き声が聞こえてきました!
15:42 我が家に初めての子どもが産まれた瞬間でした。
顔を真っ赤にしながら大きな声で泣いている赤ちゃん。
ぐったりと脱力をしながら赤ちゃんの方をほっとした表情で見ている妻。
私は妻の肩に手を乗せながら、
「よかったね。よく頑張ったね」
と声をかけました。
私自身も、本当に妻も娘も無事のまま出産が終わったことにとてもほっとしました。
そしてそのあと、胸が暖かくなるような喜びが湧き上がってきました。
ベッドに横になったままの妻の手を握りながら赤ちゃんを見て、とても幸せな気持ちでいっぱいでした。
ちなみに出産自体は、時間にして4時間弱とほかの出産に比べるととても早かったのですが、私にはとてつもなく長い時間に感じました。
出産はまだ終わりではなかった!
さて、赤ちゃんも無事に産まれてよかった!
で、まだ終わりではなかったんですね。
赤ちゃんが出てきたら次に胎盤が出てきます!
妻はここは問題なく、赤ちゃんが出てきてから4分後には胎盤も無事に出てきます。
しかし、赤ちゃんを出すときに、会陰切開をしたそうで、縫い合わせる作業がありました。
会陰切開自体は行うことの方が多いみたいですね。
この縫い合わせるのがまたすごく痛かったそうです。
医者が麻酔を使ってくれていたのですが、縫合の際に妻は、
「痛いです!痛いです!」
と何度も言っており、うまく麻酔が効いていなかったようで。
この処置に思っていたよりもずっと時間がかかりました。
その間に赤ちゃんは身体を拭かれて赤ちゃん用のケースのようなところに寝かされていました。
助産師さんがこちらを見て、
「赤ちゃん写真撮りますか?」
と気を利かせて聞いてくれるのですが、
「いやいや妻はまだ処置中ですから!」
という気持ちだったので、あとで撮りますとだけ伝えて妻の処置が終わるのを待ちました。
男性は、ここで写真を撮りたい気持ちをぐっと抑えましょう。
まだ妻が頑張っているのに赤ちゃんの方に行ってはいけません。
そうして無事に処置も終わり、我が家の立ち合い出産は終了しました。
立ち合い出産を経験してみて
最後に立ち合い出産をして思ったこと。
可能であれば、父親になる人にはぜひ立ち合ってほしいということです。
もちろん奥さんが嫌がっていたり、そういう場面で気分が悪くなったりする人には勧めませんが、どうしようか迷っている人は立ち合った方がいいと思います。
その子どもが産まれる瞬間というのは一生に一度です。
その貴重な瞬間を奥さんと共有してもらえたらなと思います。
また、出産の大変さというのは男性にはわかりづらいものです。
立ち合っただけでは、女性の本当の大変さはまだわからないとは思いますが、ほんの少しでもそれを感じることができると思います。
立ち合ったことで私は今まで以上に、頑張った妻と娘への感謝の気持ちが湧きたってきています。
父親としてこれから二人を支えていきたいという気持ちが強くなっています。
仕事や状況にもよりますが、多くの人に立ち合い出産を経験してもらって、その先の育児を奥さんとともに頑張ってもらえたらなと思います。