公務員

公務員でもできる副業は何がある?どこまで可能?副業禁止の理由とできること

老後の心配、子どもの教育費の高騰、将来への不安といったことから共働き世帯も割合もどんどん増えてきています。

そしてそれに合わせて副業をしようと考える人も。

民間の会社では、少しずつ副業が解禁されているところが増えてきていますね。

ところが公務員はなかなかそうはいかないのが現状です。

では、なぜ公務員は副業が禁止されているのか。

公務員でもできる副業にはなにがあるのかを紹介していきます。

公務員はなぜ副業が禁止なのか

正確には副業すべてが禁止なわけではない

「公務員は副業ができない!」

というイメージがあります。

でもそれは正確ではありません。

ほとんどの副業が禁止されているだけなのです。

実際に私の知人に公務員でありながら副業をしている人はいます。

ではなぜほとんどの副業が禁止されているのでしょうか。

公務員の副業をはばむ法律の壁

公務員が副業を行うことが禁止されているのは、次の2つの法律によります。

【国家公務員法】【地方公務員法】です。

その中でもわかりやすく副業しちゃだめだよと言っているのが次の2つです。

国家公務員法第104条:他の事業又は事務の関与制限

職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

地方公務員法38条:営利企業等の従事制限

職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

とまあややこしい言葉で書いてありますよね。

国家公務員と地方公務員と違いはありますが、何が言いたいかというと、

〇許可がないと営利企業の役員になったり、働いたりしたらだめ!

〇自分で営利企業を運営したらだめ!

〇職場以外のところで報酬をもらって働いてはだめ!

ということです。

それ以外にも、『信用失墜行為の禁止(国法99条、地法33条)』、『守秘義務(国法100条、地法34条』、『職務専念義務(国法101条、地法35条)』が副業禁止の根拠となっています。

どうしてこうした法律があるのか

一般企業には副業を推奨するような流れになっているのに、どうして公務員はこうした法律に縛られるのでしょうか。

それは、『公務員は国民全体の奉仕者である』からです。

 

と言いながらも、公務員であるのに一人の国民だと言いたくなりますよね。

実態はどうあれ、そうした建前の元、公務員は存在するためこうした制限が課せられます。

『信用失墜行為の禁止』であれば、本業以外の場所で何か問題を起こされたらそれだけで公務員全体の問題になってしまいますよね。

『守秘義務』という観点でも、公務員という立場で知りえた情報を他のことに利用されないためです。

公務員という立場上、下手なことはしてほしくないということなのでしょう。

職場に内緒で副業は危険なわけ

こっそり副業をしてもばれる可能性はある

「副業していても、ばれなければ大丈夫!」

という考えは危険なのでそんなことは思わないようにしましょう。

 

どんなに周囲に黙っていても、慎重に行動をしていてもばれる可能性があります。

どうやってばれるかというと一つは税金です。

副業を行い、多くの収入を得た場合、必ず税金を納めなければいけなくなります。

そのことによって、公務員の給料だけで払うべき税金よりも多くの税金を払うことに。

会計の担当者が、

「この人の税金なんかおかしいぞ……」

と気づき、副業がばれてしまうというケースも。

 

また、副業をして収入を得るとつい口が軽くなってしまうこともありますね。

2019年2月8日に仙台市職員が副業により処分を受けた報道がなされました。

母親を代表とした不動産会社を立ち上げて不動産業を営んでいたというものですね。

代表は母親でしたが実質その職員が運営していたとのこと。

そして本人も大丈夫だと思っていたのか申請をしていなかったみたいです。

これがまさに地方公務員法38条に抵触していました。

この人の場合、上司との会話の中から発覚してしまいました。

 

それ以外にも、女性警察官が風俗施設で副業をしていたり、休日に清掃業で働いていた職員がいたりした事例もあります。

勝手な副業がばれると処分される

許可のない副業は明らかな法律違反ですので何かしらの処分が下されます。

〇免職

〇停職

〇減給

〇戒告

〇厳重注意

といった処分が考えられます。

免職といって仕事をクビになる処分はよほど大きなことをしない限りはないと思いますが、停職や減給処分となることが多いようです。

例えば、上記の無許可の不動産業の場合は減給処分。

女性警察官も減給処分。

清掃作業をしていた職員で停職処分といった形になりました。

懲戒処分だけでは終わらない

「減給処分ってそんなに重たい処分じゃないのでは?」

と思うかもしれません。

でも実際は懲戒処分を受けて終わりというわけにはいかないんですね。

〇処分を受けたことで周りからの目もあるので仕事がしづらくなる

〇懲戒処分を受けたことで昇進やボーナスに響く

〇転勤や部署移動の可能性が出てくる

実際に、上記の女性警察官の例では、処分こそ減給処分でしたが、その後、退職願を提出しています。

こうした問題となると平気な顔をして仕事をするのは難しいです。

公務員でもできる副業とは

規則で定められている3つの副業

公務員でも大丈夫と自信をもっていえる副業は以下のものになります。

〇アパートや駐車場などの不動産賃貸

〇農業

〇太陽光発電への投資

公務員の副業は、『人事院規則14-8』にも規定されています。

その『人事院規則14-8』を具体的に説明した人事院通達を見ると、上記の3つは許可されていることがわかります。

もちろんそれぞれに対してもう少し細かい規定がのっています。

そしてこれらをするときはきちんと届け出をして許可を得ていなければいけません。

上記の仙台市の不動産についても、やり方次第では処罰をされなかった事案ですね。

上記以外の大丈夫とされる副業

公務員の副業で、法律には明記されていませんが下記のものは可能なことがあります。

〇株式投資やFXなどの資産運用

〇宗教活動による報酬

〇講演料

〇本の出版などによる印税

〇家業の手伝い

公務員で資産運用をしている人は多いみたいですね。

これらについては実際に行っている人もいる副業になります。

ただし、

〇収入によってはきちんと確定申告をしなければいけない

〇職場に事前に申請をしておいた方がよい

〇本業に影響があってはならない

〇家業はあくまで手伝いということを守る

といった点は注意した方がいいですね。

私の友人でも、公務員ですが講演会に参加したり、本の執筆(研究書)を出している人がいたりしますが、きちんと許可を得て行っています。

グレーゾーンな副業

実際に職場に確認をしたらNGと言われるだろうけれど、できなくはない副業として、

〇ネットオークションやメルカリなどを使った”せどり”

〇アンケートモニター

〇ポイントサイト

せどりというのは転売業ですね。

実際に転売業を営んだ場合、それはアウトです。

でも、家の不用品をネットに出品して売るようなことはしますよね。

だからはっきりと違法行為をしたということはわかりづらいところです。

しかし、あまり高額の利益を得ていると、上記のような理由からばれて処分される可能性はあります。

 

アンケートモニターも少額であれば気づかれないという点でグレーゾーンです。

提供されたアンケートに答えるごとに〇〇円といった形で報酬がもらえます。

とはいえ、アンケートモニターをした経験からすると、仕事の合間にちょこちょこやるくらいだと、月に1回~3回の飲み代が稼げるくらいかなと思います。

 

ポイントサイトもアンケートモニターと似たところがあります。

この二つについては、現金ではなくAmazonカードや、ポイントカードのポイントに変換することもできるので余計わかりません。

とはいえ、もしこれらを考えるにしても、実際にはNGな内容だとわかった上で誰にもばれないようにしないといけません。

するのは止めておいた方がいい副業

〇本業以外での給与の発生する仕事

〇ブログなどを使ったアフィリエイト

〇クラウドソーシングなどのライター業

〇無許可での副業

これらについては止めておきましょう。

公務員の友人でアフィリエイトをやりたいという友人がいましたが、さすがにそれは止めました。

アフィリエイトをやる以上、月に数千円ではなく、数万円~数十万円を目指す人が多いですよね。

さすがにそこまでの金額になるとリスクが高すぎるので、そのまま本業を頑張るか、大丈夫な副業にしぼった方が安心です。

公務員という立場を失いかねない危険なことは避けた方がいいと思います。

私の知り合いの副業をしている公務員たち

私の知り合いの公務員や教員の中には、割と副業に手を出している人がいます。

大半は、株、投資信託、FXです。

とてもうまくいっている人もいれば、数十万円単位で損失を出してしまった人もいます。

 

不動産投資をしている人は3人知っています。

一人は親からの相続でアパートを引き継いだという人。

二人は賃貸併用住宅として自宅を購入した人。

それなりの貯金がしっかりとあるのであれば考えてもいいと思います。

でもそうでなければ公務員の給料だけでいきなりアパートやマンションを購入するのは難しい。

賃貸併用住宅は、自分たちの住む自宅部分以外に、賃貸用の部屋を作り貸し出すというものです。

賃貸併用住宅をしている知り合いも、それですごく儲けているわけではないですが、ローンを丸々家賃収入だけで払い、プラスで少しお小遣いが残るくらいみたいですね。

 

またそれ以外に、バンドをしている友人は、ライブをするにあたり、チケットを売るという関係で一応役所にお伺いを立てたそうです。

ライブ会場代とチケット代でほとんど利益は出ないようでしたが問題になったら怖いということでした。

何かをやるときには、下手を打つと公務員という立場を失ってしまうのでそれくらい慎重になった方がいいと思います。

おわりに

ここまで公務員の副業について紹介してきました。

もしも副業をするのであれば、やっても大丈夫な副業の範囲で行うことをおすすめします。

「ばれなければ大丈夫」

と思って副業を行い、ばれて懲戒処分を受けるというケースがたまにニュースになっています。

公務員という立場を失うリスクを負ってまで無理な副業はしない方がいいと思います。

 

また、株やFX、不動産を行うにしても、あまり周りには言わない方がいいかもしれません。

最初のうちは、ふつうに話してもいいかもしれませんが、儲けが出てくるとあまり大っぴらにしない方が無難です。

副業がうまくいくと妬み嫉みを持つ人もいます。

副業が許可されている会社でもそうした感情を持つ人はいます。

これは非常に面倒ですし、人間関係に影響して大変です。

一般企業でさえそうなので、公務員となればできることが制限されていて、本業以外の収入を得ずらい分、余計こじれてしまう気がします。

副業に取り組む際は慎重を期して行いましょう。