公務員

公務員に向いている人、向いていない人。真面目な人には意外と大変かも。

公務員ってどんなイメージがありますか?

「真面目な感じ」

「安定していて給料もいい」

「残業とかなくて定時に帰れそう」

私が公務員になる前はこんなイメージを持っていました。

でも実際に勤めてみると結構イメージと違う部分が多いんですよね。

その中で特に思ったのは、

「真面目な人には公務員はしんどいかもしれない」

ということでした。

真面目なことは悪いことではないんです。

ただ、真面目に真正面から受け止めてしまう人は、ちょっとつらいかもと感じます。

私が十数年務めた経験から、公務員に向いている人、向いていない人を考えていきます。

公務員に向いている人

根拠や規定が好きな人

「根拠や規定」

この言葉だけでアレルギー反応が出る人もいますよね。

私も公務員時代はかなり苦手なものがこの根拠や規定。

公務員って何をするにしても、この根拠と規定を求められます。

「内規(職場内の決まり事みたいなもの)のどこどこに書いてあるから」

「これはこの法律が基になっているから」

といったことをまず学ばなければいけません。

作る書類一つにしても、どこかに決められているからその書類を作るんですよね。

だから、仕事をしていて、

「これってなんでやってるんだっけ?」

という仕事にぶちあたったときに、さっと根拠を調べる必要があります。

中には、この「根拠や規定」が大好き!って人もいます。

なぜかというと、

〇決められたとおりにやればいいのでわかりやすい

〇根拠があるので自信を持って仕事ができる

〇根拠を把握していると信頼され頼られる

〇上司から文句言われても、「内規にあります」とさらっと答えられる

といった利点もあるからです。

仕事としてはすごくわかりやすいんですよね。

自分で事細かく考える必要がなくて、決まった通りにやればいい。

最初だけ覚えるのが大変ですが、一度覚えてしまえばこれほどやりやすい仕事ってないんです。

ですので、そうした決められたことをきちんと守ろうという意識がある人がいいですね。

指示されることにきちんと応じれる人

上記の「根拠や規定」にも似ている部分ですが、指示にきちんと応じて従えることが大切です。

公務員に意外性とか、発想力とか、創造力ってものはあまり必要ないんです。

まったくいらないわけではないですが、まずは決められたこと、指示されたことを的確にできるかどうかが大事なんですね。

公務員ってかなり縦割りの組織なので、上の立場から言われたことってかなり堅実に守ろうとします。

国家公務員であれば、自分の所属する施設があり、その上に上級官庁があり、その更に上級官庁があるという風なところが多いと思います。

だから上級官庁から、

「今日からこれはこうすることにします!」

と指示が来ると、自分の職場もそれに合わせてがらっとやり方が変わることってけっこうあります。

新型コロナウイルスが広まりだした頃は特にそういったのが多かったですね。

施設独自に対策を考えるというよりも、

「上からこう言われたのでやりましょう」

というものの方が多かった気がします。

職場内だけでも、直近の上司よりも当然、市長とか施設庁といったトップの言うことは絶対です。

内容におかしいなとか理不尽だなとか効率悪いなと思っても、

「上司が言っているんだからやるかな」

と思える人でないとストレスが溜まってやってられなくなってきます。

指示がおかしいと思ってやらないと、それはそれで問題職員と扱われてしまうんですね。

ある程度割り切ることができる人

公務員となると、かなり理不尽なことにも出会うことがあります。

上記したような上司の指示や上級官庁の指示もその一つですね。

それ以外にも、一般の利用者からも、理不尽に責め立てられることもよくあることです。

たとえば市役所や県庁の窓口業務についていれば、明らかに利用者の書類の不備などで受け付けられないときでも、

「なんでこんなにわかりにくいんだ!!」

「遠くから来ているんだから早く受け付けろ!」

などと怒られることもあります。

いやいや、そちらの書類が間違っているんですよ!と思っても、

「申し訳ありません」

と謝罪して、丁寧にどうすればいいのかを教えなくてはなりません。

電話のクレームもそうですね。

市長や県知事がなにかあほな発言をしたりすると、それに対するクレームがかかってくることもあります。

「市長があんなこと言っていいと思っているの!?」

なんてことをただの受付に言われても実際どうしようもないですよね。

でもそこはぐっとこらえて、

「貴重な意見としてお伺いさせていただきます」

と答えるしかないんです。

こういったことを真面目にまともに受け止めてしまう人はちょっとつらいかも。

逆に、窓口でそんなことがあったり、面倒な電話にあたっても、

「まあいつものことだし」

と割り切れる人の方が気楽に仕事ができます。

公務員に向いていない人

真面目過ぎる人

公務員は真面目過ぎる人はしんどいかなって思います。

真面目なことはいいことですが、ある程度心に余裕がないと続けていけなくないかも。

公務員をしているとたくさんの理不尽なこととか、どうにもならなくてもやっとすることがかなりあります。

先ほど挙げたクレームもその一つですね。

自分が悪いことでなくても怒られることも多々ありますし、前任者のミスであっても、自分が後任として入ったときに発覚すれば自分の責任になります。

丁寧に対応した利用者に酷い言葉を投げかけられることもあります。

そうした誰でもちょっと傷つくような出来事って起きるのですが、それを一つ一つ真面目に受け止めているとやっていけません。

言われたことを表面的には、

「反省しています!申し訳ありません!」

という雰囲気を出しつつも、心の中で、

「まあいつものことだし、早く終わらないかな」

くらいに思える心臓の強さがあると公務員ってやりやすいんですよね。

実際に、このクレームだったり理不尽な対応って、どの部署に配属されるか、どんな上司にあたるかでかなり違います。

市役所とか区役所系の公務員だと、生活保護とか支援系の部署ってけっこうきついイメージです。

逆に毎日同じような書類の審査とか手続き系だと仕事を覚えるのは大変でも覚えればかなり余裕ができます。

やはり利用者と接する時間が長いところは心にくるものがありますね。

上昇志向の高い人

公務員って基本的に年功序列でクビになることも滅多にありません。

そこがよくて勤めている人も多いのですが、これが上昇志向の高い人だとなかなか理想と現実のギャップで苦しみます。

公務員は、仕事を頑張っても、仕事を適当にやっていても、給料って変わりません。

昇給も2010年代後半から業績の評価をするようにはなったものの、これがほぼ形式だけで、昇給の仕方はこちらも仕事っぷりとはほとんど関係ないんです。

「仕事をばりばりやって上にのし上がってみせる!」

「認められて昇給もどんどんして……」

なんて考えている人がいたらそれはかなり難しいことだと思ってください。

もちろんそういう部分がないわけではありません。

公務員にもキャリア組がいるので、そうした元々幹部コースに入っている人は、その中で少ない椅子の奪い合いは起きています。

だから無駄な役職もあって現場の人員が足りないなんてことも起きるんですけどね。

一般職員から幹部コースに進む道も一応あります。

とはいえ、ほとんどの公務員にとってそれは自分には関係ないもの。

上昇志向が高いと、民間でばりばりと働いて業績を挙げて、会社でのし上がっていく友人を見ながら、

「うちは公務員だから変わんないもんなあ」

と愚痴りたくもなってしまいます。

逆にその辺が気にならない人にはなんと理想的な職場でしょうか。

仕事に効率やスピード感を求めたい人

公務員をやっていたときに私が本当にいらいらしていたこと。

それは、

「公務員ってなんでこんなに動きが遅いのか!!!」

ということでした。

もう形式大好き!前例大好き!な公務員なので、どんどん仕事の話を進めたくてもまったく進みません。

現場だけですぱっと決めて、ぱっと動きたいときでも、

「やっぱり上司に確認はしておかないと……」

となり、その上司もまた、

「じゃあ部長に確認しておくから……」

となり、更に部長も、

「じゃあ施設庁に確認してから動こう」

なんてこともあるんです。

企画発案して、最初に上司にお伺いしてからGOサインが出るまでに果たして何日かかることか。

2、3日で決まれば、

「めずらしく反応が早い!」

ってなっちゃいます。

簡単な案件でも一週間かかるのもざら。

一か月以上たって忘れたころに回答が来るなんてこともあるんです。

どんどん仕事をやっていきたい人からするととてもストレスのかかる仕事です。

また、効率もとっても悪い!

その上司に確認していくのもそうですが、それ以外にも何につけても書類の山。

絶対に無駄だし必要の内容なものでも、これまでやっていたことって基本的にはなくそうとしません。

かといって、何か問題が起きると、問題の対策としてチェックリストを作ったり、監視体制を厳しくしたりと仕事を増やす方ばかり積極的です。

自分がいまやっているこの仕事はいったいなんなんだろうか……と思ってしまうときもありました。

なんだかんだいって公務員は良い!

やや不満を交えた公務員に向いている人、向いていない人でした。

こんな風に書いてみましたが、個人的にはそれでも公務員ってとても良い仕事です。

間違いなく誰かのためにはなっていますし、福利厚生がこれだけしっかりしているところってなかなかありません。

私を含め、公務員を辞めて民間に転職をした人間ってそれなりにいます。

でも、仕事のやりがいは転職先の方が上でも、公務員のときの方が休みは取れるし、育休とか特別休暇といった福利厚生はしっかりしていました。

給料は民間で働く友人たちと比較するとまあ平均よりは上かなといった印象です。

トップクラスは狙えなくても、そこそこの人生で満足できるならこれほどよい仕事はないと思います。

上記してきた向いている向いていないは、考え方次第でどうとでもなる部分ではあります。

ただ、これから公務員を目指す人がいるのなら、こういった部分もあるんだよってことを知ってほしくて書かせもらいました。