出産はとにかく大変です。
つわりが始まってから何時間何十時間もかけて命がけで赤ちゃんに産みます。
出産中、痛みに耐えてようやく子どもが産まれて、
「本当によかった」
とほっとするのもつかのま。
産んだあとも体には痛みが残ります。
それは出産時に会陰切開を行うからです。
会陰切開という言葉を初めて聞く人もいるかもしれません。
今回は、会陰切開がどういうものか、必要な理由、痛みの対処法などを紹介していきます。
なぜ必要なの?会陰切開を行う理由
会陰切開ってなに?
会陰切開。
出産前からこの言葉がとてもおそろしく感じていました。
会陰切開とは、
膣と肛門の間である会陰(えいん)と呼ばれる部分を切開すること
をいいます。
赤ちゃんが出てくる膣の入り口を広げるために、会陰を肛門に向けて、垂直またはななめ方向に切り込みを入れます。
出産をスムーズに進めるための人為的な切開です。
「えっ?切るの!?なんで!?」
というのが初めて聞いたときの私の感想です。
正直体を切るなんてしたくない。
でも会陰切開を行うのには理由があります。
〇大きな裂傷を予防するため
〇分娩の時間を長引かせないため
〇裂傷によるほかの臓器等への影響を防ぐため
〇器具を使った補助分娩ができるようにするため
といったことがあげられます。
以下で一つずつ見ていきましょう。
大きな裂傷を予防するため
出産の際に、赤ちゃんがお腹から出てくるためには会陰がしっかりと伸びる必要があります。
しかし、初めての出産の方や、高齢による出産の場合、会陰がうまく伸びないことがあります。
赤ちゃんの頭が大きくて裂傷を起こすというケースも。
そのまま自然にまかせて分娩を行った場合、大きな裂傷(会陰裂傷という)を起こす可能性が出てきます。
そこでそうした裂傷を予防するために、あえて切る措置を行うことが増えています。
分娩の時間を長引かせないため
出産はただでさえ時間と体力を使います。
特に後半は大きな痛みもともない、母親は必死です。
長時間の分娩は母子ともに危険があるため、少しでも出産リスクを減らすために会陰切開を行います。
裂傷によるほかの臓器等への影響を防ぐため
会陰切開を行わず、会陰裂傷が起きた際、小さな裂傷ですめばよいですが、重症だと肛門や直腸まで裂けてしまうことがあります。
皮膚も会陰切開とは違い、ギザギザに裂ける可能性があり、のちほど縫い合わせるときにうまくできないことも。
こうした会陰裂傷による痛みや出血、臓器の機能不全を防ぐために会陰切開は行われます。
器具を使った補助分娩ができるようにするため
自然と赤ちゃんが産まれてくれればそれが一番。
しかし、産道から赤ちゃんがなかなか出てきてくれないというケースもあります。
そんなときは、医療器具を使った鉗子(かんし)分娩や吸引分娩を行います。
安全な分娩を行うため、医療器具が入るように会陰切開を行う場合もあります。
会陰切開の傷はどうするの?
会陰切開によって切った部分については、出産後すぐに縫合を行います。
自然と時間の経過とともに溶ける糸を使うことが多く、あとで抜糸をする必要はありません。
体感的には15分から30分くらいで縫合は終わったと思います。
そこまで長い時間ではないのですが、出産後はすぐに産まれた赤ちゃんを見たり抱き上げたりしたい!
なかなかもどかしい時間帯でもあります。
旦那様が立ち会う場合、旦那様は縫合中の奥様をほったらかしにして産まれた赤ちゃんにばかり構わないように気をつけましょう。
会陰切開の痛みはいつまで続く?
会陰切開の痛みは想像よりもつらかった
会陰切開を行うときは、局所麻酔をするため、会陰切開自体の痛みというのは心配いらないといわれています。
実際には、もう出産でいっぱいいっぱいのため、そこを意識する余裕もないのですが。
でも本当に怖いのは出産が終わってからの痛みでした。
手術や体を縫ったことがある人はイメージしやすいかもしれませんね。
切開した部分が常に何もしていなくても痛い。
立っていても痛いし、座っていても痛い!
トイレに行くのも痛くて行きたくなくなります。
そう、座ることに対して恐怖を覚えます。
私の場合、クッションを抱きしめて横になっている態勢が一番楽でしたがそれでもやはり痛みはありました。
とはいえ、これはかなり個人差があるようです。
私は特に痛みがひどかったのかもしれません。
そんな中でも、赤ちゃんの授乳やお世話があるため、家族の支援なしでは難しかったです。
会陰切開の痛みはいつまで?
一般的には……あくまで一般的にはですが、
〇出産後1週間程度で痛みが落ち着きだす
〇出産後1か月でほぼ痛みがなくなる
とされています。
私もそれを信じて、
「この痛みは1週間の辛抱……」
と耐えていました。
ところが1週間たっても2週間たっても痛いまま……。
もちろん個人差があることは承知していましたが、いつまでたっても終わりが見えない。
痛みが早くなくなるのを願うばかりでした。
1か月たつころにはかなり痛みはおさまってきましたが、それでも痛み自体は継続し、2か月近くは痛みと闘っていたように思います。
会陰切開の痛みをやわらげるためには
座るときに傷口が触れずにすむクッションを準備する
会陰切開の痛み……座ったときが一番痛い!
とはいえ、座らずに生活するなんて常識的に不可能です。
ずっと横になってばかりではいられませんよね。
そのときに重宝したのが円座クッション。
丸い形で真ん中に穴があいているクッションのことです。
低反発クッションを進める記事もありますが、私は断然円座クッション派です。
とにかく傷口が何かに触れることが怖く……。
どうにか触れずに済む方法はないかとそればかり考えている時期でした。
元々抱き枕のようなクッションは持っていたのですが、円座クッションは手元になかったのですぐにAmazonで購入。
これなしにはこの時期は乗り越えられませんでした。
トイレでは、ガーゼやコットンを使用
トイレのあとは、ふだんなら何も気にせずトイレットペーパーでしたが、これはやめましょう。
清潔なガーゼやコットンでやさしくふくことを心がけてください。
痛みをやわらげるだけでなく、傷口はできる限り清潔である必要があります。
ただ、トイレは少なくとも便座に座らなければならず、傷口の皮膚が引っ張られて痛みがでます。
油断して座ると痛い目を見るので慎重に……。
どうにもならないときは鎮痛剤を
赤ちゃんに授乳することを考えるとあまり薬には頼りたくないと思ってしまいます。
それでもどうしても痛みが我慢できないときは無理をせずに鎮痛剤を使用することをおすすめします。
ただし、どういう鎮痛剤なら影響が少ないかなど、きちんとお医者さんに相談しましょう。
赤ちゃんのことを考えると、素人判断で行動するのは避けた方がよいです。
会陰切開をしたくない!という人は?
会陰切開を必要ない場合はしたくない!という人もいると思います。
そうした人は断ることができるのか。
結論からいえば断ることはできます。
ただし、病院によって方針も違うため、どこでも断れるわけではありません。
また、赤ちゃんに危険があったり、補助器具を使う必要がでた場合は、したくなくてもせざるを得なくなります。
このあたりは、通っている病院で確認をしてみることをおすすめします。
会陰切開はしなくても問題ない?
これはどちらともいえません。
上記したように、様々なリスクや理由から会陰切開は行われています。
会陰切開をせずに分娩を行っても会陰裂傷を起こす場合もあれば、一切傷ができない場合もあります。
ただ私の場合は、事前に調べた上で会陰切開をした方がリスクは下がるだろうと思い、怖いながらも受け入れました。
もし、会陰切開をせずに分娩をして、裂傷もできなければそれが一番ですよね。
縫合した傷口の痛みにも悩まされずにもすみますし。
でも、やはりそれ以上に何かあったときのリスクを取りたくないという気持ちもありました。
このあたりは当事者と病院の関係の中で考えていけばよいかと思います。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。
私の経験を含めて会陰切開について紹介しました。
私は周りの友人の話を聞いてみても、会陰切開の傷口の治りが遅かったのか、痛みの持続時間が長かったです。
このあたりも個人差がありますが、事前に知識を仕入れ準備して、産後の生活に備えられればと思います。
おそらく、この記事を読んでいる人の多くは、これから出産を迎える人でしょう。
可能なら、父親になる人にも、産後のお母さんがこれだけ大変なんだよということを知ってもらえると嬉しいです。
そして、妻を支える頼れる旦那様としての姿を見せていただけると産後と育児の大変さが少しでもやわらぐかと思います。