社会

国勢調査は国民の義務?その意味とやらなかったときの罰則は?

忘れたころにやってくる国勢調査。

封筒がきてもめんどうだなと思う人も多いはず。

でも、最近はインターネットでもできてすぐに簡単に終わります!

国勢調査は国民の義務……というだけでなく、実はいろんなところで役に立っています。

とはいえ、国勢調査ってなんなのかと疑問に思う人もいるかと思います。

国勢調査の意味や法的義務・罰則などを紹介していきます。

国勢調査とは

5年に1回行われる統計調査

そもそも国勢調査とはなんなのでしょうか。

国勢調査とは、5年に1回実施されている統計調査です。

対象は日本国民すべて。

世帯ごとに大きめの封筒が送られてきて、郵送かインターネットで回答することになっています。

国勢調査は、1920年(大正9年)に開始されています。

ずいぶんと歴史の深い統計調査だと驚かされますね。

国勢調査ではどんなことが聞かれる?

現時点では、国勢調査では、16項目の内容について質問がなされます。

〇世帯員の数(総数と男女の内訳)

〇住居の種類

〇氏名及び男女の別

〇世帯主との続き柄(本人とか妻とか)

〇出生の年月

〇配偶者の有無

〇国籍

〇現在の場所に住んでいる期間

〇5年前(前回調査時)の住んでいた場所

〇教育(現在もしくは最終学歴)

〇特定時期1週間の仕事の状況

〇職場や学校の場所

〇職場や学校までの交通手段

〇勤めか自営か

〇勤め先等の名称や事業の内容

〇本人の仕事の内容

となります。

国勢調査なんていわれると、もっと細かくいろいろと聞かれるのかと思われますが、意外と簡単な内容ばかりですね。

国勢調査はインターネットが簡単!

以前は、送られてきた封筒に入っている書類に記載して郵送という方法でした。

現在は、

〇記入した書類を郵送

〇インターネットで回答

の2種類となっています。

書類はマーク式で、この方法でもすぐにできますが、封筒に入れてのり付けして出してくる……なんとなく手間ですよね。

そこでおすすめはインターネットによる回答!

パソコンでも、スマホでも、タブレットでも行うことができます。

「国勢調査オンライン」で検索して、送られていた書類に書いてあるログインIDとアクセスキーを打ち込むだけで始められます。

私が実際にどれくらいかかるのか時間を計ってみましたが、

わずか11分50秒で完了!!

途中、仕事内容の部分で迷って時間をロスしましたが、それでも12分かからずに終わります。

私はそれなりにパソコンを操作する人間ですが、パソコンが苦手な人でも20分あれば終わるかなと思います。

国勢調査なんてめんどうと思っていましたが、やればすぐに終わるのでちゃちゃっと終わらせてしまいましょう。

ちなみに紙に記入して郵送だとちょっとめんどうですが、インターネットだと、「こんなもんなんだ」っという感じで終わります。

国勢調査の法的根拠

少しまじめな話です。

国勢調査ってそもそもなぜ国民の義務と言われているのでしょうか。

それは、統計法という法律に定められているからです。

統計法第5条には以下のようにあります。

第五条 総務大臣は、本邦に居住している者として政令で定める者について、人及び世帯に関する全数調査を行い、これに基づく統計(以下この条において「国勢統計」という。)を作成しなければならない。

2 総務大臣は、前項に規定する全数調査(以下「国勢調査」という。)を十年ごとに行い、国勢統計を作成しなければならない。ただし、当該国勢調査を行った年から五年目に当たる年には簡易な方法による国勢調査を行い、国勢統計を作成するものとする。

3 総務大臣は、前項に定めるもののほか、必要があると認めるときは、臨時の国勢調査を行い、国勢統計を作成することができる。

簡単にいうと、

〇総務大臣は、日本に住んでいる人について、その人や世帯の調査をしなさいよ。

〇調査は10年ごとに行って統計を作ってね。前の調査から5年目は簡単なものでいいよ。

〇必要なときは臨時で調査を行って統計を作ってもいいよ。

という条文です。

これにプラスして「国勢調査令」というものがあり、こちらで具体的に国勢調査の方法や調査内容が定められいます。

法律で決まっているといわれると、

「ちょっとやった方がいいのかな」

という気持ちになりますよね。

でも国勢調査が大事なのは法律で定まっているからだけではないんです。

国勢調査の意味と活用のされ方

国勢調査ってなんの意味があるんだろうと私も思っていました。

そこで調べてみたところ、大きく下記の3つの意味があります。

〇公的な目的(政治や行政など)の基準となる統計数字を与えること

〇統計を民間・研究部門における利用すること

〇ほかのさまざまな統計を作成する基盤となる基礎データを与えること

政治や行政の基準としての国勢調査

これが一番イメージしやすい役割かなと思います。

国勢調査では、上記したように住居や年齢、配偶者や子ども、職業といった質問があります。

自分一人の回答だけだとあまり意味がなく感じますが、これが日本国民全員分集まります。

すると、ぱっと思いつくだけでも、

〇特定の地域に住んでいる人口(男女別・年齢別)

〇配偶者や家族がいるかの別

〇どんな職種の人がどれくらいいるのか

〇どういう居住環境の人がどれくらいの割合でいるのか

なんてことが想像できます。

全国一斉調査することで、これが日本全体だけでなく、地域別にも、年齢別にも統計にできてしまいます。

具体的な活用方法としては、税金や選挙がまず挙げられます。

この調査によって出た人口比率によって、地方交付税の配分や衆議院選挙の区を決める際の基準になっています。

このため、国勢調査の人口は法定人口とも呼ばれています。

また、地域ごとの年齢的な統計もできることから、少子化対策・高齢化対策に利用できることも考えられますね。

民間や研究部門での利用

公的な利用だけでなく、民間の企業や、研究部門にも活用されています。

たとえば、起業がお店を新たに出店しようとします。

そんなとき、とりあえず土地があるからそこにお店を出そう!なんて安易に考えないですよね。

場所が決まっているならその場所にあったお店を出しますし、お店の内容が決まっているならそのお店がふさわしい土地を探します。

そんなときに、ある地域の人口構成やどんな世帯が住んでいるのかというのはとても重要な情報となります。

また、研究としては、現在の世帯数や家族構成、年齢別の人口の推移などから、将来の人口や世帯数といったものを推測する資料となります。

ほかの統計を作る上での基礎データ

国が作成する統計は国勢調査によって算出されるもの以外にもたくさんあります。

家計調査や国民生活基礎調査、労働力調査、学力調査などなど。

あげればきりがありませんが、こうしたさまざまな調査を行うにあたっての基礎となるデータが国勢調査による統計です。

たとえば、小学校で全校生徒にアンケートを取って、月々のおこづかいの平均を調べたとします。

でも、そのアンケートが一体どれくらいの生徒に対して行ったものなのか、1年生から6年生までのそれぞれの学年の人数はどれくらいなのか、一人っ子なのか兄弟がいるのか。

そういった条件によっても結果って変わることが想定できます。

最初から生徒の数や学年ごとの人数、その家族構成がわかっていたら、条件を変えておこづかいの平均も割り出せますよね。

こうした意味でもまず基礎的なデータがあるということにとても意味があります。

国勢調査をやらないとどうなる?

国勢調査は法律にも定められた国民の義務。

義務って言葉はあまり好きではありませんが、法律によって一応罰則もあるんですね。

統計法第13条では国勢調査に対する報告義務が、第61条でそれに違反したときの罰則が規定されています。

第十三条 行政機関の長は、第九条第一項の承認に基づいて基幹統計調査を行う場合には、基幹統計の作成のために必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。

2 前項の規定により報告を求められた個人又は法人その他の団体は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。

3 第一項の規定により報告を求められた個人が、未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者を除く。)又は成年被後見人である場合においては、その法定代理人が本人に代わって報告する義務を負う。

第六十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

一 第十三条の規定に違反して、基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした個人又は法人その他の団体(法人その他の団体にあっては、その役職員又は構成員として当該行為をした者)

二 第十五条第一項の規定による資料の提出をせず、若しくは虚偽の資料を提出し、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

三 第三十六条第一項の規定により匿名データの提供を受けた者又は当該匿名データの取扱いに関する業務の委託を受けた者その他の当該委託に係る業務に従事する者若しくは従事していた者で、当該匿名データを自己又は第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用した者

これもまたわかりづらい。

これをわかりやすくすると下記のようになります。

〇行政機関の長は、総務大臣の承認を受けた調査を行うために、個人や団体に必要な内容を聞くことができるよ

〇報告を求められた人はそれを拒んだり嘘をついたりしてはいけません

〇未成年者の場合は、法定代理人(親とか)がかわりに報告しましょう

〇これからいう人は50万円以下の罰金を払ってもらいます

1.報告を求められたのに拒否したり、嘘をついたりした人や団体

2.報告に関する資料を求められたのに拒否をしたり、立入検査の邪魔をしたり、質問に対して答えなかったり、嘘をついたりした人や団体

3.匿名データを受けた人やそれに関わった人で、自分や第三者の利益のために使用したり盗用したりした人

ほかの条文も入ってくるのでそれがさらにわかりづらくさせていますね。

統計法の第9条は、調査は総務大臣の承認がいること、第15条は調査のために必要なら立入検査をするというもの、第36条は国や社会のためになるのであれば匿名データを提供しますよというものです。

ざっくりこうした内容の罰則規定がなされています。

おわりに

国勢調査について簡単ですが紹介してきました。

国勢調査がさまざまな分野で役に立っているんだなということがわかってもらえたのではないかなと思います。

つい後回しにしてしまいがちな国勢調査。

でも封筒がいつまでも机の上に置いてあるとちょっと気になってしまいますよね。

上記したようにインターネットで行えば12分足らずで終わります。

大したことないものでも、残っているとなんだかもやもやしませんか。

この機会にさっと終わらせてすっきりした生活を送りましょう。