公務員

公務員はどんな副業が許可される?これまでの許可事例一覧。

公務員って一般的に副業が禁止されていると考えられています。

でも、実際には副業をしている人というのはそれなりにいます。

というのも、公務員の副業には、

〇やっても問題がない副業

〇許可が出れば問題ない副業

〇許可されないし、してはいけない副業

の三種類に大きくわけられます。

やっても問題がない副業は、株式投資や小規模の農業、太陽光発電などですね。

許可されないし、してはいけない副業としては、別の会社の経営だったり、アルバイトを含めた他の企業に勤めることが挙げられます。

さあ気になるのは、許可が出れば問題ない副業です。

私も公務員時代に副業がしたくて仕方がなかったのでたくさん調べたものです。

ここではどんな副業が許可されているのか事例とともに考えていきましょう。

副業・兼業に積極的な地方自治体

地方自治体では基準ができているところも

公務員の副業については、国家公務員よりも地方公務員の方が、前向きに取り組みを始めています。

いち早くその動きを見せたのは、兵庫県の神戸市や、奈良県の生駒市というのは有名な話ですね。

2020年に公益財団法人が提出した報告書によると、副業・兼業の基準を明確化している自治体がその時点で、7か所もありました。

〇兵庫県神戸市(2017年4月~)

〇奈良県生駒市(2017年8月~)

〇長野県(2018年9月~)

〇宮崎県新富町(2018年10月~)

〇茨城県笠間市(2019年10月~)

〇福井県(2019年10月~)

〇北海道鹿部町(2019年11月~)

2018年以降の自治体は、神戸市と生駒市の事例を参考に基準を作っているため、どこの自治体でも基準は似たようなものができているのがわかります。

二つの大きな基準

公務員の副業において、大きな基準となるものが二つあります。

①地域に貢献できる公益性の高いものかどうか

②職員のスキルアップにつながるものかどうか

副業を緩和しようという動きが起きた際、最初はこの①が中心でした。

神戸市が2017年4月に始めた際は、「地域貢献応援制度」という名前を取っており、活動対象を、

〇報酬等を得て行う、公益性の高い継続的な地域貢献活動であること

〇社会的課題の解決を目的として、神戸市内外問わず地域の発展・活性化に寄与する活動であること

としていました。

だから、始まった当初は、地域に貢献できる公益性の高いものでなければ、副業は認められていませんでした。

これって、稼ぎたくて副業を始めたい人のイメージとはだいぶ違うと思います。

前提が地域への貢献であり、その結果、報酬が発生しても許可するよといった感じです。

実際にそのころ許可された副業は、農村地域におけるNPO活動であったり、農会におけるJA等の関係団体との調整や資料作成というものでした。

こうした、地域貢献を目的として副業を緩和したところ、これが意外と好意的に受け止められていることがわかり、職員からもっと活動をさせてほしいとの声もあがったことから更に副業の範囲が広がることになります。

最初の地域貢献だけでなく、②の職員の人材育成に寄与するという趣旨も強くなり、それが回りまわって市の財産になるという考えとなりました。

副業の実例一覧!

前置きが長くなりましたね。

それでは実際にどのような副業が行われてきたのかを紹介していきます。

兵庫県神戸市の事例

いち早く副業緩和に踏み切った神戸市。

ここが一番事例としても多く、公共性の高いものが並んでいます。

こうやって見ると、公務員と一言でいっても、いろんなことを得意とする人がいるのだなと実感しますね。

〇農村地域の古民家の転活動などの活動を行うNPOに従事

〇農会におけるJA等関係団体との調整や資料作成

〇手話通訳業務

〇産後女性への産後ケアトレーニング

〇須磨海岸における障がい者支援

〇スポーツ推進委員

〇摩耶山活性化を目的とした山上でのロシア語講座の実施

〇「スポーツ医学検定」の普及・啓発

〇神戸市立中学校部活動指導員(外部指導員として)

〇「赤ちゃん先生プログラム」における講師

〇デザインクリエイティブセンター神戸におけるゼミ活動のサポート等

奈良県生駒市の事例

生駒市では、事例こそは少ないですが、地域のスポーツ関係の推進に励んでいる方が多い印象です。

個人的には、ビブリオバトルの普及活動というのが何をするのか気になります。

〇少年サッカーチームのコーチ

〇中学校バレーボール部のコーチ

〇小学生にいのちの大切さを教える出前授業を行うNPO活動

〇中学校のバスケットボール部のコーチ

〇大阪府内でのNPO(イベント創出)活動

〇ビブリオバトルの普及活動

〇大学における救命講習の指導

宮崎県新富町の事例

新富町の事例はすぐに出てきたのが3つで8名となっています。

神楽の舞い手というのはかっこいいですね。

神戸市や生駒市とは少し様子が変わって、新富町では、地域の担い手が少なくなっていることから、より幅広く副業を認めようという動きがあります。

たとえば、コンビニエンスストアでのアルバイト。

これは、コンビニが地域に必要な地域資源であるという点から、町長が認める意向を出していました。

これには反対意見も庁内にあるようですが、果たして申請が来たときにどうするのでしょうか。

同じく新聞配達は人手不足から認める方針だったようですが、結局職員が取り下げたので実績にはなっていないようです。

〇神楽の舞い手

〇少年スポーツのコーチ

〇少年スポーツの審判

その他の地域の事例

〇NPO法人の理事長として商店街活性化活動(山形県新庄市)

〇少年少女の構成や保護を行う岐阜県BBS連盟の会長として活動(岐阜県山県市)

〇障がい者支援を行う団体の代表として活動(佐賀県佐賀市)

〇無料学習塾の講師(所在不詳)

私の職場の副業をする同僚たち

私が以前勤めていた職場では、副業といえばこの4つでした。

〇株やFXといった投資

〇不動産投資

〇執筆活動

〇専門的な講演

このうち、株やFXについては別に申請しなくても特に問題ないですね。

不動産投資は、規模によりますが、行うなら申請するものと思っておいた方がいいでしょう。

不動産投資をしていた3人の先輩

これまで出会った同僚の中で不動産投資をしていたのは3人でした。

1人目はHさん。

出会ったときにすでに50代でしたが、親が不動産業を営んでいたため、それを引き継いで副業としていたものです。

この方の場合は、元々あったものなので、退去者が出れば業者に連絡してクリーニングをしたり、新しい入居者を探す手続きをするといった程度でした。

 

一から自分で不動産投資を行ったのはSさんとYさんの二人です。

Sさんは賃貸不動産を実際に購入するかなり前から、不動産投資について調べていて、自分だったらどんな不動産を購入すれば失敗をしないか考え抜いていました。

その結果、Sさんは、賃貸併用住宅にする!と決めたそうです。

そこから2年間、頭金をがっつり貯めながら、自分たちの希望にあった土地を探す日々。

条件が厳しくてかなり業者泣かせであったと本人も話していましたが、不動産ほど大きな買い物はないですからね。

失敗しないためには妥協をしないことが大切です。

そのかいもあって、理想的な土地が東京都内で見つかり、1階2階を賃貸用、3階4階を自宅用として建設。

7000万円ほどで購入し、立地が良かったこともあり、ほぼ空きの状態はなし。

ローンを払っても家賃収入でプラスが出ていたようです。

そこから3年ほどして、今度は地方都市で中古マンションを購入。

更に10年後には3棟目となるマンションを購入して、めでたく早期退職を果たしました。

今は悠々自適な生活を送っているようです。

 

Yさんも、Sさんと同じく賃貸併用住宅で不動産投資を始めました。

Yさんは、土地を探して新築を建てるのではなく、最初から経営中の中古の賃貸併用住宅を探していました。

最終的には10年未満の中古の賃貸併用住宅を発見。

1階を3LDKの自宅として使い、2階が単身者用が4部屋という作りです。

こちらは、大学が近くにあるという条件もあり、退去はあってもすぐに埋まるといった形でほとんど空きが出ず大成功でした。

まだローンは払っているようですが、そちらも家賃収入で十分払えており、Yさんが55歳には払い終わるようです。

そこから先は公務員の給料+満額の家賃収入が入るわけですね。

うらやましい限りです。

成功しているSさん、Yさんに共通するのは、不動産を購入までにかなりの時間をかけて、調べて土地や物件を選び抜いているということです。

不動産業者の提案も相当蹴ったということです。

自分が納得をいく物件でなければ焦らずに次を待つというのが成功の秘訣でしょうか。

執筆と講演をしている先輩

職場の一回り上の先輩Kさん。

Kさんは公務員ではありながら、心理系の専門家でもありました。

だから大学院時代から執筆活動をしており、単独での著作も出しています。

ふだんは執筆といっても、専門分野について依頼を受けて、合同での出版となるみたいですが、これまでに20冊以上に名前が残っているそうです。

これとは別に、講演の依頼も来ることがあるようです。

どちらも本来業務に支障がない範囲で、すべて許可を取った上で行っています。

実際に、収入のために行っているというよりも、自身の研究の成果を出す場所という意味合いの方が強いみたいです。

大きな収入ではなくても、自分の名前がどこかに残るというのは憧れるものがあります。

こうした出版や講演ですが、なんでも許可が下りるというわけではないようです。

以前、教職員が本を出版しようとしたところ、不許可とされた案件が新聞で特集となっていました。

その時点で不許可となったことに対して裁判を起こしたようなのでその結果がどうなったのかまだ判明していませんが、公務員なのでその内容いかんでは不許可となる可能性もあるようです。

公務員が副業をするなら許可を取ろう!

さて、こうして許可されてきた副業の事例を紹介してきました。

公務員という立場上、公益性を求められているのは仕方ないことかもしれません。

ただ民間でどんどん解禁されていくのであれば、公務員ももっと自由にしてほしいとは感じます。

もちろん、本業に影響を及ぼすようなものはだめですけどね。

今の時点では、やりがいを求めるのであれば事例のようなものを探すのがいいでしょう。

稼ぐこと、老後のための資金を集めることを目的とするなら、株式投資や不動産投資が現実的かなとは思います。

不動産はかなり思い切りがいりますし、リスクも高いですけどね。

よく公務員でもバレない副業なんて言葉をネットで見ますが、そうしたグレーなものには手を出さないことをおすすめします。

公務員という立場を捨ててしまう可能性を持ってまですることではないと思うからです。

危険をおかさず、許可が必要のない副業か、きちんと許可を取ってから行う副業でいきましょう。