社会

9月入学勘弁です…。文科省が出した案とは?何年生まれの子まで影響がある?

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、【9月入学】についての議論が出てきているのはご存じのことだと思います。

私はそもそも【9月入学】には反対なのですが、政府での検討が進んでいき、本当に来年から導入されそうで戦々恐々としています。

この【9月入学】に対して、2020年5月19日に動きがありました。

関係各省の幹部が集まる会議で、文部科学省から2つの案が提示されたとの報道がなされました。

文部科学省の提示した2つの案。

この2つの案はどういった内容で、どんな影響が考えられるのでしょうか。

メリットデメリットとともに紹介していきます。

なお、翌日(5月20日)には【0年生案】も出ていますので追記しておきます。

※2020年5月27日時点で、来年度の9月入学には慎重な意見が多く、見送りの方針が与党からもでているようです。

文部科学省の【9月入学】第1案

第1案は1年で9月入学に移行

第1案では、1年で9月入学に移行させます。

通常だと、4月2日から翌年4月1日までに生まれた子どもが入学をします。

それに加えて、翌年の4月2日から9月1日生まれの子どもまで一気に入学させるというものです。

2021年の小学校の入学で考えると、

【通常の入学】

2014年4月2日~2015年4月1日生まれが入学

【9月入学案】

2014年4月2日~2015年9月1日生まれが入学

となります。

つまり、17か月分の人数の子どもたち(通常の1.4倍)が一度に入学することになります。

第1案のメリット・デメリット

第1案のメリットは、1年で【9月入学】を実現できることです。

すぱっと一度に終わることはあとがとても助かります。

第2案に比べて対象の範囲がわかりやすいという点もあげられます。

 

しかし、デメリットは、

〇急増する子どもに対応する教員の数不足

〇教員を増やした場合、子どもの卒業後の増えすぎた教員の扱い

〇同じ学年の子どもの間での体力差などが大きい

〇小学校への準備が間に合わない家庭も出てくる

といったように数多く出てきます。

この1年で移行する案の場合、約40万人新入生が増えることになります。

私の通っていた小学校だと、当時学年で150人くらいだったので、それが210人になるということですね。

もう人数が多すぎて友達も把握できなくなりそうです。

17か月分の子どもが入学ってことは、兄弟姉妹で同じ学年になってしまうケースも増えそうですね。

それはちょっと親としては微妙な気持ちになります。

文部科学省の【9月入学】第2案

第2案は5年かけて9月入学に移行

第2案では、5年かけてゆっくりと9月入学に移行します。

これまで12か月分の子どもが入学をしてきましたが、来年からの5年間は入学する人数を13か月分にする。

そうすることで、6年目からはこれまでどおり12か月分の子どもが入学するというものです。

第2案で実際に入学する子どもを一覧にすると、

2021年入学⇒2014年4月2日~2015年5月1日生まれ

2022年入学⇒2015年5月2日~2016年6月1日生まれ

2023年入学⇒2016年6月2日~2017年7月1日生まれ

2024年入学⇒2017年7月2日~2018年8月1日生まれ

2025年入学⇒2018年8月2日~2019年9月1日生まれ

2026年入学⇒2019年9月2日~2020年9月1日生まれ

となり、2026年以降は、毎年9月2日から翌年9月1日生まれの子どもが入学することになります。

うちの子どもは思いっきりこの第2案の影響を受けてしまいます。

第2案のメリット・デメリット

第2案のメリットとしては、第1案のデメリットと反対になります。

〇移行するとしても学校側への負担を抑えられる

〇教員の大きな増員は必要ない

〇子どもたちの体力差などへの影響が第1案に比べて少ない

〇ゆっくりと移行していくので家庭の準備・心構えもできる

といったことが考えられます。

デメリットとしては、

〇移行完了までの期間が長い

〇いつ生まれの子どもがどの年に入学かわかりづらい

〇5年間は入学式と卒業式の時期がずれるので準備が大変

〇学校の入学は5年かけて…でも社会の制度の改変との不均衡

といったことが考えられます。

第1案に比べると、子どもや学校側への影響が少ないようには考えられます。

しかし、上記したようなデメリットも考えられ、こちらの方がいいとも言い難いです。

【9月入学】に移行したら会社の入社式を始めとした一連の内容もそれにあわせることになります。

すると、5年間は入学式や卒業式だけ変な時期に行われることになるんですね。

【追加案】小学0年生を導入する!

2020年5月19日に2つの案が出たと思ったら、翌日にはもう新しい案が出てきていました。

まだよく練られていないから次々に案が出てくるんでしょうか。

追加で出てきた【9月入学】案は、小学0年生を導入する!というものです。

簡単にまとめると、

〇小学0年生を導入し、小学校を6.5年間とする

〇6年かけて移行をしていく

〇2021年は、2014年4月2日~2015年6月1日生まれまでが入学

〇すでに入学している人もいるので、9月を始業式とする

〇2021年の4月~8月は0年生で9月から1年生になる

というものになります。

最初の2つの案よりもさらに複雑になったような気がするのは私だけでしょうか。

ちょっとまとめながらも混乱しそうです。

これを6年間かけて移行していくということは、入学年度もかなりずれていきますよね。

そもそも【9月入学】は必要なのか

なぜ【9月入学】がいま求められているのか

日本の4月に入学して3月に卒業というこれまでの流れに対して以前から9月入学にするべきだという意見はありました。

それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大にともない、全国の学校が休校になりました。

現時点でもまだ学校が再開できていない地域もたくさんあります。

子どもが学校に通えず、学習面でも遅れも深刻。

子ども間でも学習格差が生まれているとの指摘もあります。

そうした中、学習機会の公平性を保つことや、ポストコロナの社会を想定して9月入学に踏み切ろうという意見もあります。

また、9月入学、9月からの新年度スタートとなると、どちらにせよ大きな混乱は生まれるので、このタイミングで行った方がいいとの意見もあります。

【9月入学】のメリット

【9月入学】のメリットとしては以下のことがあげられます。

〇休校中に失われた学習機会の確保

〇休校中に生まれた学習格差の解消

〇留学などがスムーズに行えるようになる

〇受験が夏になり、インフルエンザや交通トラブルの心配が減る

〇受験や就職活動も先延ばしが可能

〇国際社会との整合性が取れる

新型コロナウイルス感染症によって起きた子どもたちへの学習に対する配慮が大きく、その指摘はまっとうなものだとは思います。

毎年、受験で親が子どもの体調にはらはらさせられていたのも、夏の方が安心してのぞめるでしょう。

【9月入学】のデメリット

【9月入学】にはもちろんデメリットもあります。

〇社会への影響が大きすぎる

〇就職の時期がずれるため、採用側は対策が必須

〇会計年度もずれるため、調整が大変

〇各種手当や定年の時期も変わる?

〇来年、新型コロナウイルス感染拡大がおさまっているかはわからない

〇学校現場・保護者などの準備が大変

〇保育園はどうなる?待機児童が増加するかも

〇時期がずれることによる学費や家賃などへの配慮が必要

〇これまでの習慣と違ったものになる

といったことが考えられます。

細かく見ていけばもっと数多くでてきますし、年度が9月からになることによって現場の混乱は恐ろしいことになるでしょう。

【9月入学】正直やめてほしい

ここからはかなり個人的なことなので、興味ない方はスルーでお願いします。

【9月入学】にするメリットももちろんわかります。

導入したがっている人たちの理屈もわかりはするのですが、それ以上に、【9月入学】にかかる仕事量の増加、家庭の負担、社会の混乱を思うと、本当に勘弁してください。

私個人に関わることだけでもありえないくらい大変な日々がやってくるでしょう。

私の職場の場合

たとえば私の職場。

一般的な会社や公務員と同じで年度は4月1日~翌年3月31日まで。

【9月入学】にするということは、この年度も9月1日~翌年8月31日になるということです。

 

多くの職場では、1年間の予算が組まれて、それに合わせて仕事をしていると思います。

急に年度がかわるとまずその予算からしておかしくなる。

3月に決算をしていたものをどう変更するのか、半年ずれる分は追加予算があるのか。

決めるのは私たち下っ端ではありませんが、その事務をするのは私たち。

それに関連して、多くの調書だの調査だのも増えるのだろうなぁ……。

泣けてきます……。

 

給料面でも定期昇給の時期は決まっていますが、これまでどおりのところでしていいのか?

お手当にしても、申請するために家族の職場からも、役所からもいろんな書類をもらってきて、ようやく申請をして、有効期間は1年間。

翌年にはまた書類を集めて新しく申請していました。

これも9月からにするなら申請時期や有効期間がかわるってことになりますよね。

半年ずれる分はどうするのか、そのための内規の整備、法律・規則等の改正。

それだけでも膨大な量の仕事が待っています。

とてもやりたくありません。

私は給与やお手当担当ではないのですが、担当の先輩はおそらく家に帰れなくなるでしょう。

マイホームも買って、お子さんもかわいい盛りなのに……。

こんなことが全国いたるところで起きることでしょう。

私の家庭の場合

職場・仕事だけでなく、家庭にも影響があります!

子どもがまだ未就学児なので、思いっきり【9月入学】の影響を受けます。

兄弟間での学年差も2年になるのか3年になるのか、どの案が採用されるかによって変わってしまいます。

二人同時に入試は嫌だって家庭もあれば、その逆もしかり。

いろいろ子どもの成長を考えて各家庭で計画していると思うので、そのあたりが根底からひっくり返されます。

 

また、上記したように、あきらかに私の仕事が増える!

すると家に帰れなくなる!

妻には怒られ、子どもと接する時間も減り、私の癒しの時間がどんどん奪われることに!

とても個人的なことですが、そんな生活を想像するだけでやめてほしいといいたくなります。

おわりに

【9月入学】に関する文科省の2つの案+5月20日に出された追加案などについて紹介してきました。

簡単にどういう内容なのか、メリットデメリットなども記載しましたが、日々新しい提案がなされていくと思いますので、追記していきたいと思います。

最後はかなり個人的な思いも書きましたが、自分に当てはめて考えてみると、影響のない人の方が少ないのではないかと思います。

私自身は上記したように【9月入学】には反対で、これまでどおり4月入学推奨派です。

いろいろといいところもあるとは思います。

桜とともに入学・卒業がなくなるのはさみしいと思う反面、4月には小学生たちがみんなで仲良くお花見遠足にいくのかなぁとか。

 

もし【9月入学】にするのであれば、もう少し社会全体への影響がないように導入準備をしてほしいと思います。

あまりにも社会に与える影響が大きすぎて現場の人間が大変すぎます。

導入するのなら、それ以外の仕事を軽減させたり、現場の負担を軽くする方法の検討も同時にしてもらいたい!

私の職場にも家庭にも大きな影響のあることなので、今後も真剣にみていきたいと思います。