仕事

障害者は仕事ができるのか?実際に私の会社で雇用された方たちの実情。

近年、国や民間の取り組みもあり、障害者雇用は少しずつですが増えてきています。

法定雇用率も、平成20年ころは1.8%前後だったのが、令和3年度には公的機関では2.6%まで上昇しました。

企業としては、まだ法定雇用率を守れているのが48%程度と半分弱ですが、年々その割合は上がってきています。

これから先、自分のところでも障害を持った方を雇おうか考えている企業も多いのではないでしょうか。

そうしたときに一つ疑問があると思います。

障害を持った方は果たして仕事ができるのか。

私の実感からいうと、

まったく同じにはいかないけれどかなりできる!

そして個人差がむちゃくちゃある!

ということが言えます。

仕事はできる人はすごくできる!

特定の分野でいえば私なんかよりも遥かに優れた人がいます。

そうしたことも含めて私が一緒に仕事をしてきた3名の方についてお話していきます。

パソコンにとても強かったTさん

最初に私が一緒に仕事をしたのはTさん。

彼の障害は、片目が見えづらいことと、片手の親指の欠損という身体障害でした。

そのため、手を使う細かい作業は苦手。

その代わり、それ以外の点については他の職員と対して変わらないのでできることはかなり多かったように思います。

仕事に対する意欲も旺盛で、頼まれていた仕事が終わると、

「ほかにやることはないでしょうか」

と自分の方から率先して声掛けしてくれるのでとても助かりました。

そんなTさんが最も活躍したのはパソコン・ネット関係のこと。

私たちがよくわかっていない設定のことや、新しく導入されたネットワークについても、私たち以上に把握してくれて、レクチャーまでしてもらいました。

そんなTさんですが、それだけ仕事ができる方だったので、翌年にはもっと条件がいい職場を見つけて転職してしまいました。

ちょっと気弱なSさん

次にご一緒したのはちょっと気弱なSさんです。

Sさんはうつ病などの精神障害を持った方でした。

でもふつうに接してみると、ちょっとコミュニケーションが苦手な人のよさそうな方です。

仕事に就くこと自体が数年ぶりのことだったようで、最初のうちは何をしていいのかわからず、職員に聞いていいのかもわからずただ座っているなんてこともありました。

でも、職員から、

「この仕事をやってもらえますか」

と説明を受けると、それがふつうにできちゃうんですね。

職員に尋ねるのが苦手だったのか、こちらから仕事をお願いすればそこまで問題はなく行うことができていました。

そのときは、窓口の受付や、資料の印刷や作成、会議があればそのセッティングといった仕事をしてもらっていました。

ただ、気持ちの波がかなりある方だったので、調子がいいときは何日も休まずに出勤することができるのですが、調子が悪くなると、数日に一回、場合によっては半月近くお休みをすることもありました。

ですので、長期的な仕事は頼むことができず、基本的にはその日で終えられるような業務を任せるという形でした。

残念ながら最後の方が体調が悪く、あまり出勤できないまま退職という形になってしまいました。

一見障害者とわからないOさん

3人目の方はOさん。

こちらの方もSさんと同じく精神障害を持っていました。

ですので、

「ちゃんと出勤できるかな」

という不安があったのですが、なんとこのOさん、有休を取ることはあっても、急な体調不良で休むことは一回もなかったのです!

ちょっと心配していただけに、まったく問題がなくびっくりしました。

仕事も、Sさんにお願いしていた窓口受付や資料作成だけでなく、電話も出るし、他部署との連携もしてくれるし、

「もはやふつうの職員でいいんじゃない?」

と思わせてくれる働きぶり。

このときは、

「本当にいい方がうちに来てくれて感謝!」

という気持ちでいっぱいでした。

最終的には私が別の部署へ異動となったため、一緒に仕事をしたのは一年間だけでしたが、正直とても障害を持っているようには感じられないOさんでした。

私の実感として

私が部署を異動したあとも、何人かの障害を持つ方と一緒に仕事をしてきましたが、

「個人差はあれど、一緒に仕事をしていて問題ない!」

と感じています。

もちろん、身体障害もあれば精神障害もあるため、なんでも同じように仕事をすることはできません。

仕事や担当する部署なんかは会社側で考えて配慮する必要があります。

でも、きちんと担当する仕事を選んで任せることができれば、しっかり戦力になり得ます。

身体障害を持っているのなら、その障害が邪魔にならない仕事がいいですよね。

Tさんのようにパソコンに精通していて、事務仕事もばりばりできるという方もいます。

精神障害を持っている場合、出勤がどれくらいできるのかや、対人コミュニケーションがどこまで得意かといった不安はあります。

でも、その人に合った形で業務を振ること、周りも休むことがあるんだという認識でいればそこまで問題にはなりません。

これから先、障害者雇用はますます推進されていくでしょうし、職員の高齢化も進んでいきます。

私の勤める会社でも、どんどん将来に向けてそうした方の受け入れ方を検討しています。

今のままでいることのできる会社なんて存在しないので、今から先を見据えて、社会の一員として、自分も当事者として考えていければと思います。