小説

北川恵海の『ちょっと今から仕事やめてくる』から学ぶ仕事と人生

”サービスという名の残業ばかりが増えていく。俺たちには少しのサービスもないくせに”

(北川恵海『ちょと今から仕事やめてくる』より)

 

そんな小説の一節がとても印象的でした。

 

今回紹介する本は、北川恵海さんの、

『ちょっと今から仕事やめてくる』です!

 

『ちょっと今から仕事やめてくる』はこんな本

あらすじ

主人公は青山隆。

新卒で印刷会社の営業として勤め始めて半年になります。

 

下記が隆の一日です。

朝の6時に起床。

上司に怒鳴られながら仕事。

お昼休みは近くのラーメン屋に行くがいつも列が並んでいる。

急いで食べて一服するともう休憩時間が終わる。

そこから仕事、仕事、仕事。

帰宅するのは22時53分。

夜中の1時に布団に入り気づけば朝を迎えている。

どう考えても働きすぎです。

でもそれだけではありません。

 

毎日怒鳴り散らす上司。

横ばいの給料。

土曜出勤は当たり前。

日曜も寝ているとけたたましい電話の音で目が覚めて、

「客からのクレームだ!」

と上司の怒鳴り声。

 

隆の会社は完全なブラック企業でした。

そんな生活を半年も続けていてずっと体調も悪い日が続きます。

 

そしてある日、隆は心身ともに疲れ切って無意識に線路に飛び込もうとしてしまいます。

そのとき、「ヤマモト」と名乗る同い年ぐらいの男に助けられます。

 

ヤマモトは、小学4年生のときに転校をした同級生だと名乗り、隆をそのまま飲みに連れていきます。

最初は「あやしい!」と思っていた隆ですが、明るいヤマモトに心を開いていきます。

 

仕事の相談にも乗ってもらい、ヤマモトと出会ってから隆の人生は少しずつ、いい方向へと進んでいきます。

でも、ある日、本物の同級生は現在、海外に滞在していることが判明します。

 

「いったいこのヤマモトは誰なんだ?」

と疑問を持ちながらヤマモトとの付き合いを続ける隆。

ネットでヤマモトの名前を検索すると、3年前に自殺をしていることが発覚します。

 

それと時期を同じくして隆と取引先との間で大きな問題が発生して……。

 

といった話になります。

そこから先はみなさんの目で確かめてください。

 

2017年に映画化もされました

『ちょっと今から仕事やめてくる』は2017年に実写映画化されています。

 

主演は福士蒼汰さんでヤマモトを演じています。

青山隆を工藤阿須加さん。

それ以外に、黒木華さんや小池栄子さんも出演しています。

 

私自身は観に行くことができませんでしたが、友人の評判はなかなか良かったです。

 

仕事と自分の人生を考えよう

この『ちょっと今から仕事やめてくる』という本がどんな本かと考えたときに、

「仕事と自分の人生について考える本かな」

という風に感じました。

 

主人公の隆は、ブラック企業に勤めています。

毎日、苦しいと思いながらも、たった半年では辞められないと死ぬことを考えるところまで追い込まれていきます。

 

読みながら、

「なんでそこまでして仕事をするのだろう」

と感じました。

なぜ働くのかと問われれば、多くの人は生きていくためだと答えると思います。

 

生活するにはお金が必要ですもんね。

自分が生きていくためでもあり、家族を養うためでもあります。

もちろん、仕事にやりがいを求めて働いている人や、社会貢献と思って働いている人もいると思います。

 

それでもそれらはすべて自分の人生があってのものです。

以前、別の記事にも書きましたが、私の弟もハードな職場で、疲れ切ってしまったことがあります。

電話をかけると元気のない声で、

「たまにガードレールに車をぶつけたくなる」

といったことを話していたこともあります。

このままだと本当につぶれてしまうと思い、家族で説得して仕事を辞めさせました。

今は別の仕事に就いて、当時とは打って変わって元気に生活をしています。

 

きっとみんな元気なときは、きちんと頭もまわって、生きていくことを当たり前に感じるのだと思います。

でも追い詰められていてもそこから逃げることを考えられない人もたくさんいます。

疲れてくるとうまく考えられなくなってしまうみたいです。

 

隆も当初、仕事を辞めることよりも、人生を辞めることを選びそうになります。

そこまで行くと、もう自分だけでは気持ちを前向きにしていくことが難しいんですね。

 

本の中で、隆はヤマモトに出会うことで立ち直っていきます。

弟には私達家族がいました。

どんな相手でもいい。

辛くなった時に頼ることができる相手が一人でもいればその人は救われるのだということを改めて、この本を読みながら感じました。

 

もし、仕事や人生で思い悩んでいる人がいれば、相談できる相手に話をしてほしいと思います。

相手の迷惑とか心配かけたくないとかそういうことは考えずに。

 

終わりに

こういう感想を書いてしまったのですが、『ちょっと今から仕事やめてくる』は決して暗い話ではありません。

むしろ、終わり方はとても明るく、私好みの本でした。

 

タイトルにある、

「ちょっと今から仕事やめてくる」

が一体いつでてくるのだろうかとわくわくしながら読んでいました。

 

いまの仕事に満足している人も、不満を抱えている人も、一度自分の人生を考えるきっかけとなるであろう素敵な本だと思います。

まだ読んだことがない人はぜひご一読ください。

 

『ちょっと今から仕事やめてくる』に興味がある人はこちらから