小説

「わたし、気になります」と言われたら本気にならざるを得ない。『氷菓』米澤穂信

『氷菓』米澤穂信

 

著者の米澤穂信さんは、2001年に、第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門にこの『氷菓』を応募し、奨励賞を受賞してデビューすることになります。

 

主人公は、神山高校に入学した折木奉太郎。

やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に。」

をモットーに、何事にも積極的には関わろうとしない「省エネ主義」。

姉のすすめで廃部寸前の古典部に入部することになる。

平穏な日常をのぞむ奉太郎だが、古典部部長で、好奇心旺盛な千反田えるや中学時代からの腐れ縁である福部里志とともに、日常の中に潜んでいる様々な謎を解き明かしていくことになる。

ざっくりこんなあらすじです。

 

氷菓は、米澤穂信さんの人気シリーズ<古典部>シリーズの第一作品目です。

アニメ化や漫画化もされているので、ご存知の方も多いと思います。
アニメから入ってこの本を手にした人もかなりいるのではないでしょうか。

アニメは2012年に京都アニメーションが手掛けて、22話とOVA1話の全23話となっています。
基本的には原作と内容は同じですが、時代設定が、原作では2000年を舞台としているところ、アニメでは2012年となっていました。

登場人物も原作のイメージを崩すことなくすっと作品を観ることができました。

 

2017年には映画化もされていましたね。
折木奉太郎を山崎賢人さん。千反田えるを広瀬アリスさんが演じていたかと思います。
残念ながら観に行く余裕がなくて断念しましたが。

 

私の場合は、元々、米澤穂信さんの作品が好きで、そこからこちらの本を手にすることになりました。
最初に読んだのは、『儚い羊たちの祝宴』で、独特の言い回しや、一文に込められた言葉の力に魅了されたものです。

この氷菓の中にも、米澤穂信さんの見事な表現の仕方や言い回しが随所に散りばめられていて、何度も手が止まって読み返してしまいます。

本を読みながら自身の高校時代を思い返してみても、当然ながら不思議に思うことはあっても、そこを突き詰めて考えてみるということはしていなかったなと思います。
普通の日常を、考えを膨らませるだけで、こんなにも面白く刺激に満ちた世界に変換することができるのかと。

 

ミステリー小説というと、大きな事件が起きたり、人が死んだりするものと思いがちですが、この本では殺人が起きるようなことはなく、日常に潜む謎なので、人が死ぬ作品が苦手な人も読みやすくていいと思います。

これまでに読んだ儚い羊たちの祝宴』『インシテミル』のような手に汗握るどきどき感とは違いますが、読み終わったときに、満足感からふとため息を吐いてしまいます。

7つのエピソードがそれぞれ独立しているようできれいに繋がり、少しずつ真相に近づいていく様子もきれいで読み応えのある一作です。

 

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