小説

「ここから夢に羽ばたいていく、はずだった。」by東野圭吾『麒麟の翼』

日本橋にある麒麟の像を見たことはありますか。

日本の道の始まりの場所である日本橋。

そこには翼を持った麒麟の像が存在します。

 

『ここから羽ばたく』という意味があり、この作品の中では麒麟の像が重要な意味を持っています。

 

今回紹介する本は、東野圭吾さんの、

『麒麟の翼』です!

 

<加賀恭一郎>シリーズの9作品目になります。

『麒麟の翼~劇場版・新参者』として映画化もされています。

加賀恭一郎を阿部寛さんが演じており、それ以外にも、新垣結衣さん溝端淳平さん松坂桃李さん菅田将暉さん山崎賢人さんと豪華な顔ぶれでした。

 

『麒麟の翼』のあらすじ

日本橋の上で一人の男性が胸をナイフで刺されたまま亡くなった。

男性は青柳武明。

刺された場所から日本橋まで歩き麒麟像にもたれかかるように倒れていた。

 

現場から少し離れた公園に、不審な男がおり、警察に声をかけられると、逃げようとしてトラックにはねられてしまう。

病院に搬送されたが意識不明の重体となった。

 

男が武明のかばんや財布を所持していたことから、警察はこの男・八島冬樹を容疑者として捜査を始めた。

 

日本橋署の刑事として、事件の捜査にあたった加賀は、武明が職場とも自宅とも関係のない日本橋にいたことに疑問を持つ。

捜査をするうちに、武明が「七福神巡り」をしていたことがわかる。

なぜ彼はそんなことをしていたのか、事件と何か関係があるのか。

 

といった内容になります。

 

『麒麟の翼』に見る親子の想い

『麒麟の翼』では、二組の親子の関係が描かれています。

 

一組は、主人公である加賀恭一郎と亡くなった加賀の父親。

もう一組は、被害者である武明とその息子の悠人。

 

『麒麟の翼』の中では、加賀の父親の三回忌の話が出てきます。

しかし、加賀は三回忌の準備に対してあまり乗り気ではない。

三回忌をしなくてもいいとさえ思っています。

 

でも、親戚や加賀の父親の世話をしていた看護師・金森登紀子に説得をされて重い腰を上げます。

 

金森は、加賀が父親の生前に病院にあまり顔を出さなかったことを責めますが、加賀はそれが父親との約束であったと言います。

加賀はあくまで、父親の意向を組んでそうしているのだと。

 

しかし金森はそれは間違っていると言います。

”元気な頃に交わした約束など、何の意味もないといっているのです”

”死を間近に迎えた時、人間は本当の心を取り戻します。プライドや意地といったものを捨て、自分の最後の願いと向き合うんです。彼等が発するメッセージを受け止めるのは生きている者の義務です”
(東野圭吾『麒麟の翼』より)

これを受けて加賀がどんな気持ちを抱いたかはわかりません。

ただ、これは私たち自身にもとても重要な言葉だと感じました。

 

読みながら自分の親のことが思い浮かびました。

この記事を書いている現在はまだとても元気です。

まもなく70歳になろうとしています。

まだ元気ですが、親が今どういう気持ちを子どもである私たちに抱いているのかなと思うをはせることはとても大切なことだと気づかされます。

 

私自身が家庭を持ち、親という立場になったことで余計にそう感じるのかもしれません。

自分の親の願いとはどんなことなのだろうかと考えてみたいと思います。

 

 

武明と悠人の親子は、あまりうまくいっていない父親と息子でした。

この二人の想いがどう交錯し、変化していくのかはぜひ小説を読んで知ってもらえればと思います。

 

終わりに

『麒麟の翼』は、<加賀恭一郎>シリーズの中でも特に秀逸な作品です。

親子の絆や、人情といったものをとても感じさせられます。

そして読んだ後には、自分の家族や周りの人のことを思わずにはいられません。

 

今回、少し出てきた加賀の父親への想いが、次の『祈りの幕が下りる時』でどのように昇華されていくのかがとても楽しみです。

 

<「かわいがることと大切にすることは違う」東野圭吾の『新参者』から学ぶ